トラジャその日その日1976/78──人類学者の調査日記

山下晋司さんが1976年9月から78年1月までの間にインドネシア・スラウェシ島のトラジャで行った、フィールドワークの貴重な記録を公開します。

2022-01-01から1年間の記事一覧

第26回 連載を終えて 

1978年1月14日にトラジャを出て、ウジュンパンダンで日本に荷物を送るための船の手配をしたあと、1月25日〜31日にバリ島、1月31日〜2月4日にジャワ島のジョクジャカルタを旅行した。そして2月4日、ジョクジャカルタから寝台特急ビーマに乗って、2月5日朝、ジ…

第25回 私たちのマンターダ儀礼、プアンの戦争と平和、2度目の正月、妻の怪我、そして旅の終わり 1977.12.18〜1978.1.14

12月18日 マンターダ儀礼をとりおこなう。主催者は私たちだ。豚を供犠し、竹筒料理を作る。妻はトラジャ服を着て、昨日プアンからもらった首飾り(manik kata)をつけ、クーリン(料理壺)からご飯をよそう(写真1)。耳が遠くなったト・ミナア祭司ネ・カダッ…

第24回 調査も終盤、新しい稲作サイクルの始まり、村の歴史 1977.11.26〜12.17

11月26日 トンドック・リタック(セセアン郡)のトービーとチャールズを訪ねる。久しぶりに意見交換をするためだ。まずランテパオの銀行(BRI)に寄り、20万ルピアおろす。ランテパオからセセアン方面行きのミニバスに乗る。値下げ後の新料金は300ルピアにな…

第23回 バラのマブギ儀礼、インド・サッカの葬儀、ポドン(羽蟻)捕り 1977.11.2〜11.25

11月2日 朝、フィールドノートの整理。午後からバラ(ランダナンに隣接するカンプン 註1)に出かける。マブギ儀礼が昨日から始まっているという噂だったが、実際にはまだ始まっていなかった。カンプン長によれば、広場でおこなわれる儀礼(la’pa’)の日取り …

第22回 星見、水不足、マブア・カサレ儀礼 1977.10.13〜11.1

10月13日 朝、ランテパオからミナンガに戻る途中、マカレでトアルコの式典帰りの寺田さん(在ウジュンパンダン総領事)と園田さん(ウジュンパンダンの日本人会代表、Sermani Steel Corp.)と会い、2人をミナンガのわが家に案内する。私たちが住んでいるトン…

第21回 収穫後の稲の分配、「呪医」ネ・スレーマン、パンロレアンのマブギ儀礼 1977.9.26〜10.12

9月26日 ファ・リタ(バス会社名)でトラジャに帰る。パレパレ(ウジュンパンダンから北へ約150キロにあるブギスの港町)を過ぎたあたりでバスのタイヤがパンク。それまでは快適に飛ばしていたのだが、物事がスムーズにいかないのがインドネシアだ。タイヤを…

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