トラジャその日その日1976/78──人類学者の調査日記

山下晋司さんが1976年9月から78年1月までの間にインドネシア・スラウェシ島のトラジャで行った、フィールドワークの貴重な記録を公開します。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第18回 初穂儀礼、マネネ、村を巡る呪医 1977.8.2〜8.19

8月2日 朝8時半頃パレパレを発ち(註1)、トラジャに戻る。ミナンガまで約4時間。帰ってみると、プアンが来ていた。明日、彼女の田んぼの初穂儀礼をおこなうと言う。南山大学の倉田勇先生の一行は、昨夜はマカレのロスメン・インドラに、今日はランテパオの…

第17回 休む暇がない、民博展示用の米倉、ビザの更新 1977.7.17〜8.1

7月17日 午前中、昨夜から読み出した森村誠一『真昼の誘拐』読了。今日は休息日にしようと思っていたのだが、ネ・スレーマンに誘われて、昼食後、バラナ──カンプン・タンティの「隣組」(R.T.)の1つ──でおこなわれた葬式に出かける。テドン・トゥンガ(Tedong…

第16回 収穫の季節、稲の成育儀礼 1977.6.30〜7.16

6月30日 ゲーテガンにあるハジの田んぼの稲刈り(mepare)を見に行く。田植えが2月中旬だったから約4ヶ月で刈り入れということになる。稲が実ることをトラジャ語ではmatasakという。インドネシア語のmasak=「料理する」と同根の言葉だ。実ること=熟するこ…

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